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【北アの深部】裏銀座コースを歩く

西鎌尾根から眺める秋の槍ヶ岳
秋の槍ヶ岳 西鎌尾根より

こんにちは 山絵いっとくです。

今回ご紹介するのは北アルプスの人気ルート「裏銀座コース」です。

燕岳から始まる東の表銀座コース同様、北アルプスを代表する縦走路ですが、表よりもさらに静かで山深い稜線を槍ヶ岳を目指して歩きます。

(表銀座コースについてはコチラ 【天空の散歩道】北アの鉄板コース 表銀座

目次

裏銀座コースとは

裏銀座コースは北アルプス三大急登に一つブナ立尾根で烏帽子岳と野口五郎岳の稜線に登り、そこから南下して黒部源流域の山々を越え、最後は西鎌尾根から槍ヶ岳に登頂するロングルートです。

烏帽子岳野口五郎岳水晶岳鷲羽岳三俣蓮華岳双六岳そして槍ヶ岳と北アルプス屈指の名山を多く尋ねることができる贅沢なコースです。

スタートの高瀬ダムから槍ヶ岳までで25時間程かかってしまうため、下山も考えると早くて3泊4日か、余裕をもって4泊5日が一般的な日程です。

コース紹介

裏銀座ルートの見どころと注意点を高瀬ダム→槍ヶ岳方向に見ていきます。

高瀬ダムから烏帽子小屋 (ブナ立尾根 登り: 5時間半 下り: 3時間半)

裏銀座のスタート地点となる高瀬ダムにはバス路線がないので、アクセスは信濃大町駅からタクシーを利用します(9,000円~10,000円ほど)。

高瀬ダムの堰堤を歩き不動沢トンネルを越えてしばらくは緩やかな道が続きます。

不動沢吊り橋を越えさらに歩いて濁沢にかかる橋を渡ると本格的な登りが始まります。(ここまでスタートから40分ほど)

九十九折りの急登を1時間少々登ると大岩が道に覆いかぶさる権田落シです。

針葉樹林の中をさらに進むと、いったん視界が開け、振り返れば高瀬ダム越しに涸沢岳がきれいです。

崩壊地を過ぎると2209 mの三角点です。(ここまで権田落シから2時間強

三角点からも急登です、途中ダケカンバの巨木のあるオオカンバなどで休憩しつつ1時間半ほど登るとやっと稜線上の烏帽子小屋に着きます。

余程急ぐのでなければ初日はここで一泊しましょう。
テント場はこの先三俣山荘までないのでテント泊の場合はここの利用がほぼ必須です。
(外部リンク: 烏帽子小屋小屋北の場合は要予約

ブナ立尾根は北アルプス三大急登にも数えられるハードな上り坂です。
樹林帯の登りで夏場はとても蒸し暑く、大汗をかかされます。
水場は序盤の濁沢お渡る橋の付近にしかないため、十分な量の飲料水を担ぎ上げましょう。
熱中症対策に塩タブレットなども持っていくことをおススメします。
(水だけだと体が受け付けなくなるので)

烏帽子小屋の水は天水を消毒したもので有料(500 ml100円)です。

ブナ立尾根から振り返る涸沢岳
涸沢岳 いつか登ってみたい山
烏帽子小屋
風情ある烏帽子小屋 裏銀座の重要拠点 
野口五郎岳方面の稜線
小屋の前から眺める野口五郎岳方面の稜線

烏帽子小屋から烏帽子岳往復(約1時間半)

烏帽子岳(標高 2628 m)は裏銀座コースの稜線入り口に衛兵のごとくそびえる岩峰、日本200名山の一座です。

山頂付近は鎖の連続する岩場ですが、距離自体は長くなく烏帽子小屋からなら往復でも1時間半、岩場はそのうちの30分程度です。

裏銀座コースとは逆方向になるのですが、烏帽子小屋に荷物を置いて空身で登っておきましょう。

霧の烏帽子岳
雲に覆われそうな烏帽子岳 これはこれでイイ
朝日に染まる烏帽子岳
朝日に染まる烏帽子岳の岩壁
烏帽子岳から高瀬ダムを見下ろす
高瀬ダムは遥か下・・・きついわけだ

烏帽子小屋から野口五郎岳(3時間半, 逆走 2時間40分)

烏帽子小屋から野口五郎岳までは見晴らしのいい縦走路が続きます。

烏帽子小屋からキャンプ場を抜けて鞍部まで下った後、登り返すと1時間半ほどで三ツ岳に至ります。
登山道は山頂を巻いていて、少し進むと目の前に野口五郎岳の大きな山体が姿を見せます。

三つ岳付近から先は遮るもののない絶景の縦走路が野口五郎岳山頂まで2時間続きます。

景色の良さにも慣れてきて、いい加減疲れ始めたあたりで登山者のオアシス野口五郎小屋が現れます。
荒涼とした砂礫地の窪地に突如現れる青い屋根の小屋は秘密基地感満点!
管理人はなぜか月面基地って印象を持ちました。なんでだろ?
ここでしっかり休憩して次の区間に備えましょう。
(外部リンク:野口五郎小屋現在テント場は無く、小屋泊のみです。水は天水利用で500 ml 100円です。

野口五郎小屋から少し登れば大展望の野口五郎岳(標高 2925 m)です。

裏銀座の気持ちの良い稜線
野口五郎岳への稜線
登山者のオアシス野口五郎小屋
荒涼とした砂礫地に突如現れる野口五郎小屋
野口五郎岳から見る槍ヶ岳
野口五郎岳から槍ヶ岳 まだ結構あるなぁ

野口五郎岳から水晶小屋(2時間半, 逆走 2時間半 )

野口五郎岳から30分ほど隣の真砂山の斜面を巻くように下ると真砂分岐、ここから湯ノ又温泉に下ることができます。(約5時間 エスケープルートとしてはきつめ)

真砂分岐を過ぎるとそれまでの砂礫地の景色が一変、お花畑が広がるステキな登山道を進みます。
途中の小さな岩峰付近では夏は岩の間に雪田が残りなかなか涼しげで休憩には良い場所です。
分岐から1時間半ほどで最低鞍部である東沢乗越です。

東沢乗越から水晶小屋までは30分強の登り返しです。
最後、崩壊地のヘリの登りは見た目はえげつないですが、実際登ってみると意外ときつくありません。
ブナ立尾根を乗り越えてここまで来た剛の者なら楽勝です。でも滑落には注意。

小屋泊でニッ地に余裕がある場合は水晶小屋で一泊すると無理のない行程が組めます。
(外部リンク:水晶小屋

花畑の道
花畑の中を歩く気持ちの良い登山道 正面には雪を戴く鷲羽岳
雪田
真砂岳周辺の雪田 思わず涼みたくなる休憩適地
東沢乗越から首位症小屋までの登り
水晶小屋までの最後の登り見た目ほどにはきつくない・・・ハズ
水晶小屋から野口五郎
水晶小屋から野口五郎岳を振り返る

水晶小屋から水晶岳(往復約1時間)

水晶岳(標高 2986 m)は北アルプスの百名山で最も奥まった位置にある山で、どのコースで登っても途中で少なくとも一泊は必要です。

槍ヶ岳へ向かう裏銀座コースからはやや外れているのですが、せっかくの機会なのでぜひ登っておくことをおススメします。
水晶小屋からならば往復でも約1時間で登れ、山頂や途中の稜線からは北アルプスの名山が360°見渡せます。

山頂付近は岩場ですが三点支持を守って落ち着いて登れば特に難しくはありません。

水晶岳についてはコチラの記事でも紹介しています(【天空の楽園】名山がゴロゴロ黒部源流域

水晶岳
水晶岳への稜線
水晶岳山頂付近からの眺め 左から槍ヶ岳、鷲羽岳 三俣蓮華岳

水晶小屋から三俣山荘

水晶小屋から三俣山荘へは鷲羽岳を経由するコースか、黒部川源流を経由するコースを選べます。

鷲羽岳・黒部源流についてはコチラの記事でも紹介しています(【天空の楽園】日本最後の秘境 雲ノ平 )

鷲羽岳経由(2時間40分, 逆走 3時間10分)

天気が良ければぜひ鷲羽岳(標高 2924 m)に登っていきましょう。

花崗岩でできた白い山で、その名の通り鷲が羽を広げたような端正な山容が目を引きます。

山頂からは鷲羽池越しに槍ヶ岳が見え、裏銀座コースでも屈指のフォトスポットです。

水晶小屋からは30分ほど緩やかに下るとワリモ北分岐で、鷲羽岳方面と黒部源流方面に道が分かれます。

鷲羽岳方面に進むと次第に道が険しくなりワリモ岳の山頂を巻きます。
この付近は短いですがロープを頼りに進む岩場もあり、雨天時などは滑落などに注意が必要です。
(悪天候時は黒部源流経由の方が安心です。)
分岐から1時間強で鷲羽岳山頂に到着です。

鷲羽岳から1時間、滑りやすいザレた登山道を注意して下ると三俣山荘です。
テント泊の場合は1泊目を烏帽子小屋、2泊目を三俣山荘とするのが一般的です。
(水晶岳を往復すると10時間近く歩くことになりますガンバレ!!)
(外部リンク: 三俣山荘

ワリモ岳方面から見た鷲羽岳
鷲羽岳北面
ワリモ岳 岩場
ワリモ岳の岩場
鷲羽岳山頂の展望
鷲羽岳山頂からの眺め

黒部源流経由(2時間, 逆走 2時間20分)

鷲羽岳山頂付近は荒天時は身を隠せる場所がないので、悪天候時は黒部源流を経由する谷道を使いましょう。

水晶小屋か30分のワリモ北分岐からさらに10分ほど下ると岩苔乗越の分岐に出ます。

雲ノ平に向かう道を見送り谷を下ると40分ほどで石碑のある黒部源流に着きます。

そこからさらに40分ほど登り返せば三俣山荘です。

三俣山荘から双六小屋(3時間, 逆走 3時間)

三俣山荘から三俣蓮華岳山頂までは僅か1時間の登りです。

三俣蓮華岳(標高 2842 m)は北アルプスの三叉路と呼べる山で、南の双六岳方面の道、遠く立山まで続く北西の道とここまで歩いてきた裏銀座を経て最終的には後立山連峰まで続く北東の道の分岐になります。
山頂からの眺めは申し分なく、これから向かう槍ヶ岳はもちろん雲ノ平やその周辺の名山を一望できます。
また山頂直下には見事なお花畑が広がり、初夏にはコバイケイソウやシナノキンバイ、ハクサンイチゲなどの大群落がみられます。

三俣蓮華岳から双六岳までは約1時間半、緩やかなアップダウンの道を進みます。
この道沿いも花が多く、雪渓とお花畑、槍ヶ岳の展望を同時に楽しめる気持ちの良い道です。

双六岳(標高 2863 m)の山頂周辺は荒涼とした砂礫地が広がり、まるで別の星に来てしまったかのような不思議な景観を作っています。
ここから見る槍ヶ岳は北アルプス南部を代表する眺めの一つです。

双六岳山頂から30分ほど下ると双六小屋に着きます。
広いテント場の併設された立派な小屋で日程に余裕があればここに泊まるのもよいでしょう。
(外部リンク: 双六小屋
(テント泊で3泊4日の日程なら三泊目はこの先の槍ヶ岳山荘にしておくと最終日が楽です)

三俣蓮華岳と双六岳についてはコチラの記事でも紹介しています。
是非読んでみて下さいね 【天空の楽園】日本最後の秘境 雲ノ平 

三俣蓮華 お花畑
三俣蓮華岳 山頂付近のお花畑
三俣蓮華山頂から見る雲ノ平
三俣蓮華山頂から見る雲ノ平
三俣蓮華岳から槍ヶ岳方面
三俣蓮華岳から槍ヶ岳
双六岳山頂付近
ちょっと日本離れした双六岳山頂付近の景観

双六小屋から槍ヶ岳山荘(西鎌尾根 上り5時間, 下り 3時間半)

双六岳からは西鎌尾根を登って槍ヶ岳山荘を目指します。

この区間の写真は機材トラブルで夏山のものが残ってないので、秋に撮った写真を載せてます。

双六小屋から樅沢岳(もみさわだけ 標高 2755m)まで40分ほどの急な登りです。
樅沢岳山頂から見た槍ヶ岳は西鎌尾根を引いた姿が非常に美しいです。

樅沢岳からは硫黄乗り越しまでいったん下り、西鎌尾根にとりつきます。
細かい登り降りのある長い区間ですが、歩けば歩くほど着実に大きくなる槍の雄姿が疲れた体を励ましてくれます。

東を眺めれば木々をまとわず赤茶けた硫黄岳・赤岳の奇観を目にすることができます。
硫化して赤茶けた花崗岩からなる山で、岩質がボロボロで崩れやすいため一般的な登山の対象にはなっていません。

樅沢岳から2時間半ほど歩くと千丈乗越で、そこから槍ヶ岳山荘までは1時間半、最後の一頑張りです。

樅沢だけ山頂付近から見た槍ヶ岳
樅沢岳から見た槍ヶ岳
西鎌尾根から東側の展望
西鎌尾根から見た硫黄岳・赤岳(手前)と表銀座コースの稜線(奥)
秋の西鎌尾根から槍ヶ岳
西鎌尾根より槍ヶ岳を仰ぐ ここまでくれば後チョット

槍の穂先往復(混んでなければ1時間)

槍ヶ岳山荘から槍の穂先へは混んでなければ往復で1時間弱です。

ただし北アルプスでも最も人気のある山だけあって、シーズン中は大抵渋滞しています。

場合によっては往復に3時間近くかかることもあるので、時間に余裕思った計画を立てて臨みましょう。

槍ヶ岳山荘に宿泊できれば空いたタイミングを見計らって登れるので、多少なりとも快適に登れます。
(外部リンク: 槍ヶ岳山荘

山頂からは360°の大絶景、北アルプスの主だった山をほとんど見つけられます。

下山ルートについては、槍沢コースか飛騨沢コースが一般的。
体力と時間が有り余っていればそのまま表銀座コースというのもステキです。
コチラの記事を参考にして下さいね(【天を衝く】登山者憧れの槍ヶ岳 定番&最短コース【天空の散歩道】北アの鉄板コース 表銀座

槍の穂先
槍の穂先 渋滞中・・・
槍ヶ岳山頂から見る裏銀座
槍ヶ岳山頂より歩いてきた裏銀座の山々
表銀座方面
槍ヶ岳から眺める 表銀座方面

まとめ

今回は北アルプスの深部を貫く裏銀座コースを紹介しました。

高山植物の花が咲き誇る初夏ももちろんいいですが、稜線が紅葉に色ずく秋も風情があっておススメです。
(夏山の写真をロストした負け惜しみとかじゃないですよ)

少なくとも3泊4日程度はかかってしまう長丁場なのでなかなか行きづらいところではありますが、体力をつけて時間に余裕を持った計画でぜひ挑戦してみて下さい。

裏銀座を歩くと、北アルプスの理解がぐっと深まりますヨ。

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