こんにちは 山絵いっとくです。
今回は登山者憧れの山、槍ヶ岳の紹介します。
深田久弥先生が日本百名山の中で
「いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。」
と言い切る北アルプスのシンボルです。
本記事では、槍の穂先に立つための定番コースの「槍沢コース」と最短コースの「飛騨沢コース」を解説します。
槍ヶ岳とは
槍ヶ岳については深田久弥先生ですら著書 日本百名山の中で
「今さら槍ヶ岳について語るのも愚かなくらい、周知の山である。」
と書かれています。
いわんや管理人ごときが槍ヶ岳サマについて何をか言わん なんですが、まだ山を始めてない人も読んでくれてるかもしれないので説明させて下さい。
槍ヶ岳は北アルプス南部、北アルプス最高峰の穂高岳から大キレットを挟んで北側にある標高3180 mの山、日本第5位の高峰です。
北アルプスのどの山から見ても容易に見分けられる三角錐の山頂は、北アルプスのシンボルであり、最高の展望台でもあります。
穂高岳についてはコチラの記事で紹介しています。(【北アの首領】日本3位の高峰、穂高岳のおすすめコース)
黒部源流域についてはコチラの記事をで紹介してます。(【天空の楽園】名山がゴロゴロ黒部源流域)
播隆上人と御来迎
槍ヶ岳はまだ江戸時代の時に文政11年(1828年)浄土宗の僧侶 播隆上人によって開山されました。
上人が槍ヶ岳の開山を決意したのは、同じく北アルプスの笠ヶ岳山頂でのことです。
(こっちの記事も見てね 【孤高の名峰】体力勝負の笠ヶ岳)
1823年に笠ヶ岳に登頂した際に、播隆上人の目の前に光輪を背負った阿弥陀如来が三度現れました。御来迎です。
これに感激した播隆上人は視線の先にそびえる槍ヶ岳の開山を発願したといわれています。
この御来迎、現代ではブロッケン現象と呼ばれるれっきとした科学現象です。
観察者の後方から浅い角度で光が差し込むと、霧中の水の微粒子に散乱された光の一部が観察者の影周りに光の輪を作ります。
なんだか難しいですが、要するに御来迎で見る仏様は見る者の影ということですね意味深。
播隆上人が御来迎を見たのは笠が岳ですが、槍ヶ岳でも運が良ければ見れますよ。
(記事冒頭の写真にも写ってますね。)
管理者が見たのは二度とも夕方、稜線の常念山脈のガスに西日が当たって見えました。
槍ヶ岳の登山コース
槍ヶ岳には四方から多くの登山道が伸びていますが、その中でも比較的容易に山頂に立てるのが、長野県側の上高地から槍沢を登る定番の「槍沢コース」と、岐阜県側の新穂高温泉から飛騨沢を登る最短経路「飛騨沢コース」です。
管理人としては、河童橋や梓川の清流など見どころの多い槍沢コースを登り、帰りは飛騨沢コースを採って心地よい温泉と美味しい飛騨牛が待つ新穂高温泉に下るのがお気に入りです。
槍沢コース(槍ヶ岳山荘まで10時間)(下り8時間)
上高地~横尾(2時間50分)
槍沢コースの起点である上高地は、言わずと知れた日本屈指の山岳リゾート。
神々しい穂高の山並みをバックに流れる梓川、風情たっぷりのカッパ橋など、美しい景色を求める観光客でにぎわってます。
上高地から穂高岳や槍ヶ岳、常念岳の登り口に向かう梓川沿いの道は、正式には奥上高地自然探勝路と言いますが、山ヤには専ら梓川街道と呼ばれています。
その名の通りほとんどアップダウンのない快適だけど退屈な道です。
上高地から、穂高の登り口である横尾までは梓川街道を3時間です。
(コチラもオススメ【北アの首領】日本3位の高峰、穂高岳のおすすめコース)
横尾山荘ではお風呂にも入れるので、上高地の到着が遅い場合はここで一泊するのもいいでしょう。
テント場も完備されてます(入浴は小屋宿泊者のみ)。
(外部リンク: 横尾山荘)
横尾から槍沢ロッジ(1時間40分)
横尾から先は森の中の登山道をずいぶん細くなった梓川沿いに進みます。
一ノ俣谷、二ノ俣谷にかかる橋を渡ると槍沢ロッジに着きます。
小さな小屋ですが、お風呂もあって快適な小屋です。
上高地から出発した場合はここで一泊して翌朝槍ヶ岳を目指すのが一般的。
少し先にある槍沢キャンプ場を利用する場合もここで受付です。
そこそこ距離があるので先に受付を済ませておくと楽です。
ビールもあらかじめ買っておきましょう。
(外部リンク:槍沢ロッジ)
槍沢から槍ヶ岳山荘(5時間半)
槍沢ロッジから1時間40で大曲の分岐に着きます。
右手の尾根に登ると表銀座からのルートと合流し、東鎌尾根に出ますが、今回は左手の沢沿いの道を進みます。
1時間ほど歩くと天狗原分岐、左手に氷河公園への道を分けます。
時間に余裕があれば氷河公園へ足を延ばすと、槍沢越しの槍の穂先を拝めます(片道40分ほど)
氷河高原から先も南岳に向かって登山道が続きます。
南岳から中岳、大喰岳を経由して槍ヶ岳向かうルートはとても景色の良いコースです。
ただし、南岳の稜線に出るまでは鎖・梯子のある難ルートで、槍の穂先よりよっぽど怖いので初心者の場合は避けた方が無難かもしれません。
天狗原分岐からは傾斜が急になります。
息を切らして1時間半ほど登ると槍の穂先が見えてきます。
ここまで来たらあと一息、播隆上人が拠点としていた坊主岩小屋を越えて40分で殺生ヒュッテの分岐、
さらに40分、最後の九十九折を登り切れば槍ヶ岳山荘に到着です。
槍ヶ岳山荘は北アルプス屈指の立派な山小屋、3000 mの稜線上にあるにもかかわらず焼き立てパンが食べれます。
もちろんビールも飲める。(槍の穂先を往復してからにしましょう。)
(外部リンク:槍ヶ岳山荘)槍ヶ岳山荘のテント場は先着順で、到着が遅いと下の殺生ヒュッテのテント場に貼ることになります。
槍ヶ岳山荘から槍の穂先(時間は混み具合による)
槍ヶ岳山荘から槍の穂先までは空いていれば往復1時間ほど。
上部は登りと下りで道が分かれているので、対向者を気にすることなく登れるのがありがたい。
山頂直下に高度感のある長い梯子があるものの、ルートはよく整備されているので、三点支持を守って落ち着いて登れば大丈夫。
槍の穂先へのルートはよく整備されているとはいえ、多くの登山者がひっきりなしに上る人気の岩場です。
不意の落石から身を守るためにヘルメットを着けましょう。
槍ヶ岳山荘でレンタルもあります。
槍の穂先はシーズン中は大変混み合います。
往復3時間近くかかることもあるので、時間に余裕を持った計画を立てましょう。
特に夜明けの時間帯は山頂でご来光を拝もうと、登山者が殺到します。
その結果、多くは山頂手前の岩場に張り付いて日の出を迎えることになります。
槍の穂先への道は西側についていて、途中からは槍の影になって朝日は見えません。
混んでるなと思ったら、おとなしく大喰岳あたりに登って日の出と槍のシルエットを堪能するほうが満足できると思います。
飛騨沢コース(槍ヶ岳山荘まで9時間半)(下り6時間半)
新穂高温泉から槍平小屋(4時間半)
新穂高温泉のバスターミナルを出てロープウェイの右を進むとほどなく林道に入ります。
途中一度林道を離れて林の中に入りますが、すぐ林道に戻ります。
出発して2時間ほどで白出沢出合、退屈な林道歩きはここまでです。
穂高岳へと向かう道を見送り、谷筋を進むと1時間半で避難小屋の建つ滝谷出合です。
ここから谷がいったん狭くなり道が急になりますが、1時間ほど辛抱して谷が開けるとそこが槍平。
晴れてれば滝谷の絶壁を至近で望める槍平小屋に泊り、次の日に槍ヶ岳を目指すと余裕をもって登頂できます。
(外部リンク:槍平小屋)
槍平から槍ヶ岳山荘(5時間)
槍平からは、はじめは暗い森の道を進みます。
傾斜のきつい岩だらけの道を登り、登山道が大きく右に曲がるとじきに視界が開け、目の前に西鎌尾根が現れます。
槍平小屋から2時間半で西鎌尾根との分岐です。
飛騨沢のカールの内部は、夏はハクサンフウロやヤマハハコ、トリカブトなどの花が所狭しと咲き誇ります。
分岐からさらに2時間半、九十九折の道を登ると日本最高所の峠の飛騨乗り越しを経て槍ヶ岳山荘です。
晴れた日の飛騨沢は、お花畑や槍ヶ岳、お向かいの笠ヶ岳がきれいに見えるとても気持ちの良いコースです。
ただし、西鎌尾根との分岐以降は日陰が全くなく、上れば上るほど傾斜がきつくなるハードなコースなので、飲み水を十分に持って適度な休憩をはさみつつ登ってください。
飛騨沢は西斜面なので午前中の早い時間に登れば山の影になっていて涼しいです。
まとめ
今回は登山者憧れの槍ヶ岳への定番コース「槍沢コース」と最短コースの「飛騨沢コース」を紹介しました。
どちらのコースも夏には高山植物の花が咲き乱れ、槍の頂に至るまでの道中も存分に楽しませてくれるでしょう。
今回紹介した以外にも、登山者のレベルに応じて様々なコースが選択できるのが槍ヶ岳のいいところです。
大人気の表銀座・裏銀座コースや、怖いけど一度は行ってみたい大キレットなど、もう少し上級者向きのコースについては、また別の記事で紹介します。
お楽しみに~。
内部リンク(【天空の散歩道】北アの鉄板コース 表銀座, 【北アの深部】裏銀座コースを歩く,【国内最難関】憧れの大キレットでスリル満点な空中散歩)
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