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【天空の楽園】日本最後の秘境 雲ノ平 

祖父岳からの雲ノ平全景

こんにちは 管理人の山絵いっとくです。

今回紹介するのは「日本最後の秘境」とも呼ばれる北アルプスの雲ノ平。

どのルートを辿っても片道二日程度かかる、かなりガチめな秘境ですが、山オタなら誰もが一度は行ってみたいと願う天上の楽園です。

目次

雲ノ平とは

雲ノ平は黒部ダムで有名な黒部渓谷の源流部に位置する溶岩台地です。

標高2600mの日本最高所の高原の周辺には薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳、水晶岳など日本100名山にも選ばれた名山がいっぱい。

山好きなら、テントの中から周りの山を眺めているだけで、1日中ニヤニヤできるまさに楽園です。

さらに夏には、池塘と呼ばれる池の間に可憐な高山植物の花が咲き、目の前を雲が流れていく、The Heavenな景色が広がります。

山オタ以外でも感動すること間違いなしです。

ただし、たどり着くまでは地獄なかなか大変ですが・・・・

雲ノ平
鷲羽岳から見た雲ノ平、中心のテーブル状の台地です右の小高い丘が祖父岳
雲ノ平
溶岩の間を高山植物が埋め、その中を木道が走る
雲ノ平
標高が高く天気が変わりやすい。突然の雨もまた良いものです
早朝の雲ノ平

雲ノ平おすすめスポット

雲ノ平山荘

雲ノ平山荘
登山者のオアシス雲ノ平山荘
雲ノ平山荘
木道の先にたたずむ姿は何ともフォトジェニック

雲ノ平を天上の楽園としている一因が雲ノ平山荘の存在です。

この山小屋があるおかげで、片道徒歩二日の秘境にあっても
冷たいビールや、優雅な午後のお茶を楽しむことができます。

建物自体も非常におしゃれで、黒部源流域の豪雪に耐える機能美を備えつつ、
雲ノ平の景観と非常によくマッチしています。

雲ノ平山王
まさか片道徒歩二日の秘境で午後のお茶を楽しめるとは・・・

宿泊する場合は事前に予約が必要です。
連休やお盆の時期は混み合うので早めに予約しましょう。

(外部リンク:雲ノ平山荘

祖母岳

雲ノ平の西側にある標高2560mの小高い丘が祖母岳です。

後述の折立ルートから雲ノ平にたどり着いて、雲ノ平山荘へと続く木道を辿る途中にあります。

山頂までは木道の分岐点から20分ほどの登りです。

山頂は草原の中に岩や池塘が点在し、さながら日本庭園のような景色が広がっています。

祖母岳
祖母岳山頂 遠くに雲ノ平小屋が見える 奥の黒い山は水晶岳(別名 黒岳)
祖母岳
祖母岳から眺める三俣蓮華岳

祖父岳

雲ノ平の東にある標高2825mの山、雲ノ平の最高峰になります。

山頂からは雲ノ平の全景が見渡せ、ここから雲ノ平越しに眺める黒部五郎岳や薬師岳は
管理人が最も好きな山岳風景の一つです。

雲ノ平山荘から片道1時間半程とちょっと大変ですが、雲ノ平にたどり着くまでの果てしない苦労を思えば誤差の範囲ですしぜひ訪れてみてください。

雲ノ平の向こうに黒部五郎岳が見える
祖父岳から見た薬師岳 晩夏でも豊富な雪渓が残る

雲ノ平へ行くルート

雲ノ平へ至るルートでよく使われるルートには

富山県側から折立登山口に入り太郎兵衛平(薬師峠)、薬師沢を経由する「折立ルート」と
岐阜県側の新穂高温泉から入山して鏡平、双六岳、三俣蓮華岳などを経由する「新穂高ルート」

の2つがあります。

折立ルート

雲ノ平に到達する最短ルートが富山側の折立登山口から太郎兵衛平、薬師沢を経由する折立ルートです。

コースタイムは折立から太郎兵衛平までで5時間ほど
太郎兵衛平から雲ノ平に至るまでにさらに5時間ほどかかります。

よほど体力に自信がある人でなければ、太郎兵衛平にある太郎平小屋か、薬師平キャンプ場で1泊するべきでしょう。

太郎兵衛小屋では行者ニンニク入りの名物ラーメンが食べられます。

塩味が疲れた体にしみわたります。ぜひお試しください。

(外部リンク:太郎平小屋

太郎兵衛小屋
太郎兵衛平の太郎兵衛小屋、雲ノ平や薬師岳を目指す登山者にとっての命綱となるありがたい小屋
太郎ラーメン
名物の太郎ラーメン。汗だらだらで登った体に塩分と炭水化物が沁みます。

このルートの最難関は、太郎兵衛平(標高約2300m)からいったん薬師沢(2012m)まで下った後、雲ノ平の西端にあたるアラスカ庭園(2464m)まで登り返す約2時間の上り返しです。

高々2時間の登りですが、この道は

「まったく緩むことない急登続き」
「両手を使ってよじ登るような巨岩がゴロゴロ」
「岩が苔生していて、それはまぁよく滑る」
「樹林帯で風が通らず蒸し暑い」
「展望がないのでテンションのあげようもない」

というおよそ山道の暗黒面を凝縮したような怖ろしいルートです。

管理人はこれまで三度通過しましたが、その度に

「二度と来るか!!いや、来るべきではない。」

などと脳ミソが溶けたかのような呪詛弱音を吐き吐き登ってました。

それでも何度も来てしまうのは管理人がドMだから雲ノ平がそれだけ魅力的だからです。

やはり他のルートに比べて所要時間が圧倒的に短いのは大きなメリットです。
お金も時間もない管理人みたいなのには特に

この区間をめげずに歩き切るコツは、
直前の薬師沢でしっかりと休憩&エネルギー補給を行うことと、
先を見ずに(絶望するので)足元をしっかり見て、
ゆっくりでもいいので、できるだけ立ち止まらず、心を止めて歩き続けることです。
逆に、「十歩進んで立ち止まり、先を見て、頂はまだかと、遥に思ふ・・・・」
などとやってると、マジで心が折れます。

(外部リンク:薬師沢小屋

まぁ薬師沢に降りた時点で行くも戻るも地獄(急登)なので、心が折れようが砕けようが結局歩くしかないわけですが・・・・。

薬師沢小屋
薬師沢にある おしゃれな薬師沢小屋、ここで体力を万全に回復して最後の急騰に挑もう

新穂高ルート

管理人が個人的におすすめするのは岐阜県は飛騨高山、新穂高温泉から登る「新穂高ルート」です。

このルートは途中の山にどれだけ寄るかにもよりますが、雲ノ平(雲ノ平山荘)までで15時間近くかかります。

しかし、北アルプスらしいダイナミックな景色が広がり、槍岳や穂高連峰など北ア南部の有名どこに比べると静かな縦走が楽しめる、とても満足度の高いルートです。

危険個所も鷲羽岳からワリモ岳に向かう途中で少々鎖場がある程度です。
(不安ならそれすら回避して雲ノ平に向かうこともできます。後述)

もちろん1日で歩き切るのはよほどの超人でないと厳しいので、途中、双六小屋(新穂高温泉から7~8時間ぐらい)か三俣蓮華小屋(同 10時間程度)で一泊するのが普通です。

両小屋とも、テント場含めとてもよく整備されていて雰囲気も抜群、売店の軽食もに非常においしくて、お金さえあればたいそう快適な山小屋体験ができます。

さてそれでは、新穂高ルートのおすすめスポットを紹介したいと思います。

鏡平

鏡平
鏡池に移る槍穂連邦は定番のフォトスポットだ

まずは新穂高温泉から5時間ほど急斜面を登り、そろそろ弱音を吐きたくなるころ到着する鏡平。

池に映る槍ヶ岳の雄姿はほんの一瞬ここまでの疲労を忘れさせてくれます。

池のすぐ隣に建つ鏡平山荘では軽食の他、かき氷も食べられます。

ここからの登りもまだまだ長いので、ここで十分に体力を回復しておきましょう。

体力に自信がない場合はここで一泊するのもいいと思います。

(外部リンク:鏡平山荘

(新穂高温泉から弓折乗越までは笠ヶ岳の記事でもう少し詳しく紹介しています。【孤高の名峰】体力勝負の笠ヶ岳

双六岳

鏡平からさらに1時間登ると弓折乗越と呼ばれる峠に出ます。

雪渓の残る尾根道を通過し徐々に高度を下げると1時間ほどで双六小屋に着きます。(新穂高温泉から7時間程度)

ここで一泊して次の日に雲ノ平を目指すのが一般的な日程です。

双六小屋はこの山域ではかなり大きめの小屋で、食事も充実しておりテント場も広く非常に快適です。

(外部リンク:双六小屋

双六小屋
樅沢岳から見た双六小屋 奥の山が双六岳

双六小屋から巻き道を使って直接次の三俣山荘に向かうこともできますが、時間と体力に余裕があればぜひ双六岳山頂(2860m)を経由する稜線ルートを辿ってください。

双六岳山頂付近はだだっ広い砂礫地が広がる不思議な空間で、別の惑星に迷い込んだかのような気分が味わえます。

双六岳
ここは別の惑星かしら? いいえ双六岳です
槍ヶ岳もきれいに見えます

三俣蓮華岳

双六小屋から2~3時間程度(ルートによる)北上すると標高2841mの三俣蓮華岳に到着します。

三俣蓮華岳は岐阜、富山、長野の三県を分ける山です。

ここから北西に進むと黒部五郎岳、薬師岳を経て立山へ至り、北東に進むと鷲羽岳、野口五郎岳、烏帽子岳といった裏銀座の山々を経て最終的にいは白馬岳などを要する後立山連峰に達します。

またここまで歩いてきた双六岳方面の道は南下すると笠ヶ岳に至ります。

まさに北アルプスの臍と呼ぶべき山です。

それだけに山頂からの眺めは抜群で北アルプスを代表する多くの山々を一望することができます。

黒部五郎岳
三俣蓮華から見る黒部五郎岳、遠くに霞むのは加賀の白山
槍ヶ岳
皆のアイドル槍ヶ岳ももちろんよく見えますよ

三俣蓮華を下るとすぐに三俣山荘に着きます。

此処のキャンプ場はハイマツの間の狭いスペースにもテントが張れ、隠れ家的なテント暮らしができるとても面白いテント場です。

新穂高からだと10時間ぐらいかかってしまいますが、早朝に出発してここまで泊まりに来るファンもいます。

外部リンク(三俣山荘

三俣山荘と三俣蓮華キャンプ場

三俣山荘からは下記の鷲羽岳か黒部源流碑のいずれかを経由して雲ノ平に向かいます。

鷲羽岳

日本百名山の1座、鷲羽岳(2924m)は三俣蓮華小屋のすぐ北に位置しています。

特に三俣蓮華岳側から見た姿は名前の通り鷲が羽を広げたように見え秀麗という言葉がピッタリな名峰です。

鷲羽岳
三俣蓮華岳から見た鷲羽岳 左奥に見えるのは水晶岳

三俣山荘から鷲羽岳を超えて雲ノ平を目指す場合、鷲羽岳の山頂まで1時間半、そこからワリモ岳を経由して2時間弱で雲ノ平最高峰の祖父岳に着きます。

ワリモ岳周辺はそこまで難易度は高くないものの鎖場もある切り立った岩場なので、岩場の通過に不安がある場合は次の黒部源流ルートで雲ノ平に向かいましょう。

鷲羽岳山頂までは急登ではあるものの危険個所はないので、三俣から鷲羽岳山頂にピストン登山してから黒部源流ルートを取るのもおすすめです。

鷲羽池
山頂から見える鷲羽池
鷲羽岳
天気が良ければ鷲羽池越しに槍ヶ岳も見える
鷲羽岳
ワリモ岳側から見た鷲羽岳

黒部源流ルート

三俣山荘から北西に30分ほど下ると黒部川の源流部に出ます。

源流自体は石碑が一つ立っているだけのなんて事のない谷ですが、付近はコバイケイソウの群生地になっており7月下旬から8月中旬にかけてお花畑になります。

黒部川源流からは1時間半程度の登りで雲ノ平の端に到達できます。

天候が悪い時は鷲羽ルートより黒部源流ルートを使いましょう。
荒天時の鷲羽岳は落雷等から逃れる術がなく大変危険です。

黒部源流碑
黒部源流の碑
黒部源流から見た鷲羽岳
コバイケイソウの群落

まとめ

今回は日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平についての紹介しました。

雲ノ平は折立、新穂高温泉のどちらから向かっても途中で一泊する必要があるので、
全体の工程としては3泊4日以上が基本になります。

連日歩き通せる体力が必要不可欠なので、山登りを始めたての方にいきなりお勧めすることはできませんが、ある程度の経験者であれば、たどり着くまでの過程を含め大変お勧めできる秘境です。

十分に体力をつけ、登山靴や雨具などの装備を十全に備え、余裕のある計画を立てて、ぜひトライしてみてください。

雲ノ平周辺には個性的で素晴らしい山々がいっぱいあるのですが、記事が長くなったのでそちらはまた別にまとめたいと思います。

お楽しみに。

(内部リンク:【天空の楽園】名山がゴロゴロ黒部源流域

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