こんにちは山絵いっとくです。
前回の記事では雲ノ平の魅力とそこに至る道のりについて紹介しました。
(前回記事:【天空の楽園】日本最後の秘境 雲ノ平 )
前回記事でもいくつか紹介しましたが、雲ノ平周辺の黒部源流域には個性豊かでカッコイイ山がゴロゴロあります。
山オタとしては涎と笑いが止まりません。まさに楽園。
というわけで今回は前回記事で紹介しきれなかった雲ノ平周辺の名峰を紹介します。
黒部源流域の山々
雲ノ平のある黒部源流域は北アアルプスの奥座敷と呼ばれ、百名山だけでも黒部五郎岳、薬師岳、水晶岳、鷲羽岳といずれも個性豊かな名峰がそろっています。
今回は、前回の記事で紹介した鷲羽岳 以外の3座について紹介したいと思います。
黒部五郎岳
まず紹介するのが雲ノ平から見て南西にそびえる黒部五郎岳。
標高2840mの山頂は氷河期に氷河によって削られたカールと呼ばれるU字谷になっています。
日本アルプスの山々にはカールを持つものが多くありますが、黒部五郎岳のカールは別格です。
プッチンプリンでいえば頂上のカラメル部分が丸ごと無くなるくらい、山頂部が豪快に削り取られています。
黒部五郎の五郎はカール内に巨岩がゴーロゴロしているところから来ているそうで、これも氷河による浸食の名残です。
カールの中は三方を絶壁に囲まれた、まさに別天地で、日本百名山の著者である深田久弥先生の言葉を借りれば
「青天井の大伽藍」
まるで檻の中にいるような非現実感がありつつ、それでいて、とても心地よいという不思議空間が広がっています。
来世は黒部五郎カールに咲くチングルマになりたい。
山頂からは薬師岳や雲ノ平、笠ヶ岳などの名山が見渡せますが、やはり主役は足元に断崖絶壁を作るカールです。
黒部五郎岳に行くには、
前回記事で紹介した折立ルートの中継点太郎兵衛平から北ノ俣岳を経由するルート(4時間半程度)
新穂高温泉ルートの中継点の三俣山荘から西へ進むルート(同じく4時間半程度)
の2つのルートがあります。
三俣山荘と黒部五郎岳の中間地点には黒部五郎小舎があり、
ここで一泊すると無理なく登頂することができます。
(外部リンク:黒部五郎小舎)
水晶岳
水晶岳は雲ノ平から見て北東にある標高2978mの麗峰です。
山名は水晶が多く見られることからついていますが、現在では登山道周辺ではほとんど見つけられません。
見つけても持って帰ってはいけません。国立公園は動植物・鉱物の採取厳禁です。
個人的には昔の名前の黒岳のほうがしっくりくる、黒くてカッコイイお山です。
水晶岳は北アルプスの中でも最も奥まった位置にある百名山で、主要な縦走路から外れていることもあり、登頂する機会はなかなかありません。
しかし雲ノ平からならば、祖父岳、ワリモ北分岐を経て3時間半ほどでたどり着けます。
(決して短い行程ではないですが、雲ノ平まで笑顔でたどり着ける山オタにとっては誤差みたいなものです。)
ワリモ北分岐より先、鷲羽岳と水晶岳をつなぐ稜線上はアップダウンがほとんどなく、夏にはハクサンイチゲやヨツバシオガマなどの高山植物が咲き誇る天上の散歩道です。
雲ノ平とセットで登る以外では、裏銀座コースの途中によられることが多いです。
(参考記事 【北アの深部】裏銀座コースを歩く)
山頂からは北側の赤牛岳を超えて立山連峰、黒部ダムの奥には白馬岳などの名山が並ぶ後立山連峰も見渡せます。
また、鷲羽岳と水晶岳の間にある水晶小屋は稜線上の厳しい環境に耐える小さいながらも重厚な小屋で、宿泊の他、食事や休憩に最適な稜線上のオアシスです。
(外部リンク: 水晶小屋)
薬師岳
薬師岳は雲ノ平の北西に位置する標高2926mのお山。
北アルプスで最も大きな山であり、
そのたおやかかつ威厳のある山容から「北アルプスの女王」と呼ばれています。
薬師岳の大きさは、北側の室堂から南側の太郎兵衛平までを実際に歩くと、
骨身にしみて実感できます。室堂から太郎兵衛平までで約18時間ほんとマジで全然着かない。
一般的には前回の記事で紹介した折立ルート、太郎兵衛平からピストンで登られます。(登り3時間半、下り2時間半ほど)
本来ならここで山頂からの展望と写真をご紹介するはずなのですが・・・・・
実は過去に2回登ったものの、二回とも視界ゼロのガッスガス。
オタクにやさしくない女王様
近い内にまた登ります。
薬師岳の北側は稜線が広く、ガスが出ていると道が非常にわかりにくくなります。
岩のペンキマークを確実にたどること、それすら見えなくなったら潔く引き返してください。無理するとあっけなく遭難します。
管理人も雪渓の出口を見失って肝を冷やしました。
まとめ 黒部源流域をめぐるには
今回紹介した3座と前回の記事で紹介した鷲羽岳、雲ノ平をまとめて登る場合は、
三俣山荘→黒部五郎岳→太郎兵衛平(泊)→薬師岳→太郎兵衛平→雲ノ平(泊)→水晶岳→鷲羽岳→三俣山荘(余力があれば双六小屋まで)
と回ると効率が良いです。
新穂高温泉から三俣山荘まで1日で入れる脚力と持続可能な根性があれば、計4泊5日で回り切れます。
ただ、実際にやると物凄くきついですし、(それはそれで楽しいが)せっかくの名山をヘロヘロで登っても勿体ないので、何度かに分けて登るのがいいと思います。
今回の記事の写真も4回の山行で撮ったものを合わせたものです。
山は季節や天候、登山者自身の精神状態によって、いつも違った顔を見せてくれるので、
同じ山域に何度登っても飽きることはありません。
飽きたと思うのは多くの場合、登山者自身に山の楽しみを見つける余裕がなくなっている時だと思います。
道具と体、心の状態を整えて余裕を持った楽しい山旅ができるといいですね。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] (内部リンク:【天空の楽園】雲ノ平を取り巻く山々) […]
[…] 黒部源流域についてはコチラの記事をで紹介してます。(【天空の楽園】名山がゴロゴロ黒部源流域) […]