こんにちは 山絵いっとくです。
今回紹介するのは北アルプスにある日本百名山の一座 笠ヶ岳。
日本全国に笠ヶ岳と名の付くピークは数多くありますが、
この笠ヶ岳ほど、どの方角から見ても見事に笠をやってる山はないと思います。
その美しい姿を穂高や槍から眺めて、登りたくなった方も多いでしょう。
見る人を引き付けてやまない笠ヶ岳の魅力を見ていきます。
笠ヶ岳とは
笠ヶ岳は以前紹介した穂高岳の西、黒部源流域の南にそびえる標高2898.mの大きな山です。
北アルプスの他の山々から離れた独立峰のような姿は、どの方角から見ても名前の通りの笠型です。
笠ヶ岳山頂は槍穂高連峰の格好の展望台でもあり、播隆上人はここから槍ヶ岳を眺め開山を発願したと言われてます。
登ってみれば、それも心から納得できるはずです。
(槍ヶ岳についてはコチラ 【天を衝く】登山者憧れの槍ヶ岳 定番&最短コース)
笠ヶ岳へのコース&見どころ紹介
笠ヶ岳へは、北アルプスの岐阜県側の玄関口である新穂高温泉を起点に登ります。
中尾高原口から登るクリヤ谷ルートについては登山道の荒廃が激しいらしく、高低差も大きくなってしまうため、管理人も利用したことがありません。
そのため今回は紹介を見合わせます。ごめんなさい。
小池新道経由
雲取山への縦走と同様に鏡平経由でから弓折乗越まで急登の小池新道を登りそこから稜線伝いに笠ヶ岳へ向かうコースです。
後述の笠新道に比べると時間はかかりますが、景色の変化に富んだ歩いて楽しいコースです。
笠新道ほど急登ではないので体力に絶対の自信がある方以外は、途中鏡平で一泊してこのコースで登ることをおススメします。
テントの場合は双六小屋を利用します。
新穂高温泉から弓折乗越(6時間半)
新穂高温泉からワサビ平小屋までは佐俣谷に沿った林道を進みます。
1時間程歩くと左手に水場と後述の笠新道の登り口があります。
その後10分ほどでワサビ平小屋、そこから50分で林道の終点に着き登山道に入ります。
岩がゴロゴロした登山道を1時間強登ると秩父沢にでます。
必要ならばここで水を補給できます。
秩父沢から1時間半でシシウドガ原、さらに1時間強登ると鏡平です。
シシウドガ原は両側を険しい崖に挟まれた、谷中にぽっかりと開いた広場のような良い休憩地です。
鏡平は以前雲ノ平を紹介した記事でもふれたとおり池に映る槍ヶ岳のビュースポットです。
池の畔の鏡平山荘で1拍して、翌朝笠ヶ岳へ向かいます。
(この区間についてはこちらの記事でも触れています。【天空の楽園】日本最後の秘境 雲ノ平 )
(外部リンク:鏡平山荘)
鏡平を出て1時間で笠ヶ岳から双六岳へ繋がる稜線上の弓折乗越しに出ます。
周辺は高山植物の宝庫で、初夏は雪渓のまわりに可愛らしい花が咲き乱れます。
余力があれば周辺を少し散策するのもいいでしょう。
弓折乗越しから笠ヶ岳(4時間半)
弓折乗越から南へ進むと物の数分で弓折岳の標識があります。
この辺りまでは花畑と池塘が点在する、まさに楽園といった風情なのですが、下りが始まると状況が一変、大ノマ乗り越しまでは灌木な中を潜り抜けるような荒れた急坂の下りです。
コースタイムは40分ですが体感的にははるかに長く感じます。
大ノマ乗越からは道は幾分マシになり1時間半かけ大ノマ岳を越えて秩父平に向かいます。
大ノマ岳周辺はコバイケイソウの大群落地7月下旬から8月上旬にかけて見事という他ない花畑が出現します。
秩父平は氷河に削られたU字谷で、内部には美しいお花畑が広がります。
秩父平から秩父岩まではU字谷内部の九十九折りの道を登ります。
秩父岩まで出れば厳しい登りはほぼ終わり。
目の前に見える笠ヶ岳に向かって起伏の少ない快適な登山道を進みます。
秩父平から1時間ほどで笠新道との分岐に着きます。
ここから抜戸岳山頂へは10分ほど。
笠ヶ岳を眺める最高のビュースポットなので天気が良ければぜひ登りましょう。
分岐からさらに進み名前通り門の形をした抜戸岩をくぐると徐々に道が険しくなります。岩場を登って笠ヶ岳山荘の横を抜ければ、笠ヶ岳山頂はすぐそこ。
笠新道の分岐から山頂までは1時間強の道のりです。
笠ヶ岳山荘に荷物を置いて往復しましょう。
(外部リンク:笠ヶ岳山荘)
秩父岩から先の稜線は晴れていれば快適な登山道ですが、悪天候時には身を隠せる場所がありません。
鏡平から笠ヶ岳山荘までの長い区間小屋がないので、天候の悪化が予想される場合は絶対に入り込まないでください。
北アルプスでは午後には高確率で夕立が来ます。基本通り早出早着を心掛けましょう。
突然の雷雨にあってしまったら窪地になっていて比較的安全な秩父平等で何とかやり過ごしましょう。
笠新道
笠ヶ岳へ至る最短ルートが笠新道です。
前述の小池新道も急登ですが、笠新道は超急登。
体力に自信があり、不屈の精神力を持ったベテラン登山者か、無尽蔵の体力を持つアスリート以外は登りで使わない方がいいと思う。
新穂高温泉から笠新道登山口までは前述の通り1時間の林道歩き。
登山口に入るといきなりの急登に面食らいますが、残念ながらそのままの急登が4時間半続きます。
道中ほぼ景色の変化もなく唯々登り続ける、まさに登るために登る苦行の道です。
途中休憩は必須ですが長く休むと立ち上がれなくなるので、手早く必要な栄養と水分を補給して歩き始めましょう。
前に進み続ける強い気持ちが何より大切です。
4時間半(人によってはもっと)の苦行に耐え抜くと杓子平。
ここで視界が開け笠ヶ岳の美しい稜線が目の前に広がります。
ただし、感動するのもつかの間、わずかな水平移動の後、再び2時間の急登が始まります。
このあたりは浮石が多いので足元には十分注意しましょう。
ここまでの道のりで足がだいぶやられていると思うのでちょっとした油断が大怪我につながります。
抜戸岳の直下で稜線上の道と合流すれば、今度こそ地獄の登りはお終い。
笠ヶ岳への空中散歩を楽しみましょう。
繰り返しになりますが、笠新道は日本屈指のハードコースです。体力に自信のない方は、絶対に挑戦しないことを強くおススメします。途中に小屋もないので力尽きてもすぐには助けてもらえません。
下りで使う分には体力的にはだいぶマシですが、上部は浮石が多いので転倒に注意、後半の下りも長いので途中で足が痙攣して倒れないようにこまめな水分・塩分・糖分補給を心掛けましょう。
まとめ
今回は飛騨の名山 笠ヶ岳を紹介しました。どう登ってもタフな山ですが、道中には素晴らしいお花畑や氷河地形、解放感抜群の稜線歩きなど、苦労に見合うだけの価値がある山です。
非常に見分けやすく目立つ山なので、一度登っておくと、他の山から眺る度に「あの山に登ったんだなぁ」と思い出をシミジミ噛み締められるようになります。
そのくらい強く印象に残る山旅ができる笠ヶ岳、十分な体力をつけてぜひチャレンジしてみて下さい。
くれぐれも登りは小池新道からで・・・・・
コメント
コメント一覧 (3件)
[…] (新穂高温泉から弓折乗越までは笠ヶ岳の記事でもう少し詳しく紹介しています。【孤高の名峰】体力勝負の笠ヶ岳) […]
[…] 上人が槍ヶ岳の開山を決意したのは、同じく北アルプスの笠ヶ岳山頂でのことです。(こっちの記事も見てね 【孤高の名峰】体力勝負の笠ヶ岳) […]
[…] (関連記事 【天を衝く】登山者憧れの槍ヶ岳 定番&最短コース、【孤高の名峰】体力勝負の笠ヶ岳) […]