こんにちは山絵いっとくです。
山の世界には「魔の山」と、まるで和製RPGのラストダンジョンみたいな呼び方をされている場所があるんですが、
皆さんはご存じでしょうか?
今回ご紹介するのは、上越国境にそびえる日本百名山の一座 谷川岳、遭難死した人の数が世界一多い山としてギネス認定されてしまった山です。
そのため怖ろしいあだ名を付けられていますが、実際には登山初心者から拗らせた山オタまで死力を尽くせる楽しめる懐の広~い山です。
谷川岳とは
谷川岳は日本有数の豪雪地帯である上越国境(群馬県と新潟県の県境)にある山。
トマノ耳(標高1963 m)とオキノ耳(同1977 m)の二つの頂を持つ優美な双耳峰です。
標高2000 mに満たないものの、豊富な降雪にえぐられた谷は深く、群馬県側の一ノ倉沢は日本屈指の大岩壁です。
また首都圏からのアクセスが良いため昭和6年の清水トンネル開通以降は多くの登山者が通う、ロッククライミングの聖地となりました。
しかし、それに伴い遭難事故が多発、記録を開始した1931年からこれまでに800名以上が遭難死していて「世界一遭難者が多い山」としてギネスにも登録されてしまいました。
谷川岳の遭難者数は世界の8000 m峰14座を合わせたより多いらしいのですが、
あちらは近代登山の歴史が浅い上、そもそもアクセスできる人が限られるため、
比較対象としては余り適切でないようにも思います。
そのせいで冒頭に紹介した通り「魔の山」や「死の山」、「人喰い山」などと呼ばれます。
ただ、現在では中腹の天神平までロープウェイがかけられ、一般登山道で山頂を目指すだけならば初心者でも可能な山岳リゾートとなっています。
その一方で、日本三大急登に数えられるに西黒尾根や、馬蹄形ルート、主脈縦走路などベテラン登山者を魅了するロングルートも多く持ちます。
今の谷川岳は登山初心者から熟練者まで、個々の力量に合わせて楽しめる山屋の楽園です。
谷川岳おすすめルート
天神尾根ルート
谷川ロープウェイの終点 天神平から北に延びる天神尾根を辿る谷川岳山頂への最短ルート。
ルート全域がよく整備されていて、初心者でも比較的安全に山頂を踏むことができます。
とはいえ2000 m近い山の上なので荒天時は無理は禁物です。
山頂直下の肩の小屋までは2時間程そこから最高点のオキノ耳までは10分少々で到着します。
肩の小屋では食事つき宿泊も可能です。
(外部リンク: 谷川岳 肩の小屋)
西黒尾根ルート
谷川岳の玄関口である土合駅から、1200 mの標高差を一気に登るハードルートです。
最初の2時間程は樹林帯の登りで、夏はとにかく蒸します。
樹林帯を抜けて視界が開けるとラクダのコブと呼ばれる小ピーク、そこからトマノ耳へはさらに1時間半ほど開けた稜線を登ります。
上部は7月上旬まで残雪が残ることがあり、ルートを見失わないよう注意が必要です。
北アルプスのブナ立尾根、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根と並んで日本三大急登に数えられる西黒尾根、山オタならば一度は登りたいクラシックルートです。
でも正直、2度目はもういいかな・・・・以前登った時は雨降ってた上に蒸し暑くて・・・・・
写真がないのもそのためです。(以上言い訳)
主稜縦走路
管理人一番好きなルートが谷川主稜縦走路です。
谷川岳から西へ進み、谷川連邦最高峰の仙ノ倉岳(2026 m)や平標山(1987 m)
を踏破するロングルートで、谷川肩の小屋付近から下山口である平標登山口までは10時間近くかかります。
体力的にはなかなかつらいですが、全域が笹や草原に覆われた縦走路は解放感抜群です。
これまで歩いてきた道、これから歩いていく道がどこまでも見渡せ、
山を歩く喜びを実感できる素晴らしいルートです。
既に山にハマっていた管理人が山にドハマりするきっかけとなったルートがここです。
主稜縦走路の注意点
この主要縦走路、とても綺麗なのに人はまばらでとっても静か
そこもまた非リア山オタの管理人には素晴らしいポイントなのですが、問題はその理由。
実はこのルート、入り口である谷川岳肩の小屋から終盤の平標山にある平標山の家まで、
標準タイムで7時間程の間、営業小屋がありません。(つまり まともなトイレもありません)
また水場も大障子避難小屋から20分ほど谷を下ったところに1ヵ所あるだけ、
登り返しも大変ですし、何よりガスっているときは下りで道を見失う恐れがあります。
できれば水は谷川肩の小屋までで十分仕入れて頑張って運ぶのが安全だと思います。
そんな静かな道なので、道中トラブルに見舞われても、周りに助けを求めることはほぼ不可能と考えていいでしょう。
なので初心者だけでの挑戦はお勧めできません。
ある程度経験の経験と十分な水や食料を運べる体力をつけて望んでください。
途中に点在する宇宙船の脱出ポットのような金属製の避難小屋は、とても簡素ですがその分頑丈です。
悪天候に見舞われた際は無理に進まず天候が回復するまで小屋でしのいで下さい。
そのためにも余裕を持った食料と水の確保・運搬が必要です。
なお稜線上は天候によっては暴風が吹き荒れるのでテント泊は禁止です。
馬蹄形縦走路
主稜線縦走と並び、谷川連峰の良さを味わい尽くせる名ルートが谷川馬蹄形縦走路です。
名前の通り湯檜曽川をU字型に囲む山々を縦走する全長25kmにも及ぶ体力勝負のルートです。
ここでは、谷川岳登山の玄関口土合駅から白毛門へ上り、旭岳から谷川岳方面に回る反時計回りのルートで説明します。
標準コースタイムは谷川肩の小屋までで14時間近くになり、下山のことも考えると常人には日帰りはほぼ不可能です。たまにできちゃう超人さんもいます。お前はどうかって?やろうとも思いません。
宿泊には途中、営業小屋は蓬ヒュッテがありますが、反時計回りだとスタートから10時間近くかかってしまいます。
登山口から7時間半程の清水峠にある白崩避難小屋を利用するのが現実的です。
水場もありますし。
ただ、避難小屋なので、当然食料や寝具は自分で運ぶ必要があります。
馬蹄形ルートは途中危険個所こそほとんどありませんが、
累積標高差(登り)3000mにもなる超ハードコースです。
白毛門を超えると短時間で脱出できるエスケープルートもほとんどないので
きついなと思ったら白毛門から引き返しましょう。
白毛門単体でも十分登る価値のある良い山です。
詳しいコース内容&見どころ
東京方面からの電車が土合駅に着くとまず最初の試練は地上に出ることです。
(これは土合駅を利用するほかのコースも同様です)
土合駅は日本一のモグラ駅として有名で、
下り線の地下ホームから地上の駅舎に出るために、
462段の階段を上る必要があります。
人によっては地上に出るまでに力尽きて階段脇で座り込んでいたりもします。
馬蹄形に挑む山屋にとってもなかなか良い準備運動になります。
無事に地上に出たら、いよいよ登山開始です。
土合橋から登山道に入るといきなり急登、標高1720 mの白毛門までは約3時間半、コース全体で最も厳しい区間です。
白毛門を超えると一転して気持ちの良い稜線歩きが続きます。
前半戦のメインピークである朝日岳(標高1945 m)までは2時間強の道のりです。
朝日岳を越え、上越国境の山でよく見かける湿原と池塘を眺めながら2時間程歩くと、
避難小屋のある清水峠に到着します。
ゆっくり休んで後半戦に備えましょう。
清水峠から蓬ヒュッテまでは約2時間、そこから武能岳まではさらに1時間程、気持ちのいい緩やかな縦走路が続きます。(記事冒頭の写真もこのあたりで撮ったものです。)
武能岳を乗り越えてさらに2時間笹原の中を進むと茂倉岳、さらに30分くらいで一ノ倉岳に着きます。
一ノ倉から先は左手に絶壁を眺める岩場になります。
疲労も溜まりに溜まってるハズ、転落に十分気を付けて歩きましょう。
約1時間でゴールの谷川岳山頂に出ますです。
下山は楽な天神尾根ルートがオススメです。
まとめ
今回は上越国境の名峰、谷川岳を紹介しました。
魔の山、人喰い山と恐れられる山ですが、一般登山道を歩く分には、危険個所は多くありません。
初心者から上級者まで体力に合わせて多彩なルートを選択でき、どのルートでも絶景に出会える懐の深いイイ山です。
東京からのアクセスもいいので、気になった方は、まずは天神尾根ルートから挑戦してみて下さい。
きっと山を好きになると思いますヨ。
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