こんにちは 山絵いっとくです。
今回紹介するのは、表銀座コース。
山好きなら誰もが一度は聞いたことのある、北アルプスの鉄板縦走コースです。
表銀座コースとは
表銀座コースは、「101番目の名山」とも呼ばれ、北アルプス入門の山として大人気の燕岳と、北アルプスのシンボル槍ヶ岳を結ぶ縦走路です。
燕岳側からスタートすると、歩くほどに近づいてくる槍ヶ岳を眺めながら展望抜群の縦走を楽しめます。
もともと人気の2座を繋ぐ上、稜線上からの眺めが素晴らしく、さらにコース上は高山植物の宝庫という至れり尽くせりっぷりで、夏山シーズン中は多くの登山者訪れます。
そのため日本を代表する繁華街 銀座 になぞらえて 表銀座コース と呼ばれています。
とはいえ、2泊3日~3泊4日で歩かれるロングコースという事もあり、実際に銀座のような人混みになることはなく、快適な山歩きが楽しめる良ルートです。
表銀座のコース&見どころ紹介
今回は魅力いっぱいの表銀座コースを燕岳→槍ヶ岳方向に紹介します。
中房温泉~燕山荘(合戦尾根)(上り:4時間10分 下り:2時間50分)
中房温泉から燕岳の手前にある燕山荘までの合戦尾根は、北アルプス三大急登と呼ばれています。
標高差1250mをひたすら登るのですが、コース自体はよく整備されていて、三大急登の他の二つ(剱岳の早月尾根、裏銀座のブナ立尾根)に比べるとかなり歩きやすいコースです。
中房温泉を出発すると合戦小屋まで約3時間は樹林帯の苦しい登りが続きます。
途中30~40分おきに第1~第3ベンチ、富士見ベンチが設置されているので、ここで休憩して登ると一定のペースを保ちやすいと思います。
合戦小屋は合戦尾根の途中にある休憩用の小屋で、宿泊はできないものの名物である地元産のスイカを頂くことができます。スイカだけだとカロリー足りないので、別途エネルギー(糖分 or 炭水化物)補給は必要かも・・・
合戦小屋を過ぎたあたりから視界が開け、進行方向に燕山荘が見え始めますが、到着にはさらに1時間強かかります。
振り向けば天気次第で富士山がきれいに見えますよ。
燕山荘は北アルプスで最大級の山小屋で、3000 m近い稜線に建っていると思えない、お洒落な建物です。
洒落ているのは外観だけでなく、町の喫茶店も顔負けなサンルームでケーキとコーヒーを楽しめます。
また、燕山荘の周辺は、表銀座コースでも屈指のお花畑です。
(外部リンク:燕山荘)
表銀座コースを歩く場合、初日の宿として燕山荘は最適です・・・が、大人気の山小屋だけあって夏山シーズン中はなかなか予約が取れません。
テント場もありますが、狭いためこちらも予約制で、予約開始直後に埋まってしまうほど人気です。利用を考えている場合はできる限り早めに予約しましょう。
ここに泊まれない場合は次の大天井だけにある大天荘か大天井ヒュッテが宿泊地の候補になります。
燕山荘から燕岳(往復1時間程)
燕山荘に着いたら重たい荷物を置かせてもらって、燕岳(標高2763 m)を往復しましょう。
燕岳は日本百名山にこそ選ばれていませんが、白い花崗岩と緑のハイマツに覆われた山容は、燕山荘付近から見るとことのほか美しく、101番目の名山とも呼ばれています。
山頂までの道沿いにはイルカやメガネの形をした奇岩や、高山植物の女王コマクサの群落など見どころがたくさん。
合戦尾根の整備の良さと快適な燕山荘の存在もあって、単体でも北アルプス入門の山として大人気です。
燕山荘から大天荘(3時間)(逆走:2時間50分)
燕山荘に戻ったら燕岳とは逆方向に見える大天井岳を目指します。
燕岳から大下りの頭までは、表銀座コースの中でも最も気持ちの良い稜線歩き楽しめる区間です。
正面の槍ヶ岳に向かって花崗岩の白い道がハイマツの間を緩やかに上下しながら続いていく景色は絵にかいたような美しさ。
思わず鼻歌の一つも出てしまうというものです。
そんな気持ちの良い縦走も燕岳から50分ほどの大下りの頭でいったん終わり。
まだ大天井岳は結構上に見えるのに、ここからしばらく下ります。
樹林帯まで下りた後急坂を登り返しまが、この付近は崖に沿った細い巻道なので、滑落には十分注意しましょう。
見晴らしの良い標高2700 mのピークを越えると再び緩い下りになります。
切通岩の鎖場を越えると槍ヶ岳方面と常念岳方面の分岐に出ます(大下りの頭からここまで1時間半)。
大天荘・大天井岳山頂に向かう場合は常念岳方面(向かって左手)に進みます。
(槍ヶ岳方面に進むと大天井岳山頂を踏まず、大天井ヒュッテを経由して直接槍ヶ岳に向かいます。)
分岐から40分ほど、大天井岳の東面を巻きながら登ると山頂直下の大天荘に着きます。
大天荘から大天井岳山頂(往復20分)
大天荘は大天井岳山頂の直下に建つ山小屋です。
燕山荘ほど大きくはないですが、しっかりとした山小屋で、ご飯もおいしく快適です。
管理人はここの冷やし中華が大好きです。
また、テント場が予約制ではないため、燕山荘のテント場が使えなかった場合はここまで歩いてテントを張ることになります。
(外部リンク:大天荘)小屋迫の場合は要予約です
大天荘から大天井岳山頂(標高2922 m)までは片道僅か10分!
山頂には祠があり、槍穂高連峰や針ノ木岳から後立山連峰、黒部源流域、歩いてきた燕岳からの稜線などなど見渡す限りの絶景が拝めます。
槍ヶ岳や燕岳に比べると地味な山ですが、景色の良さならば表銀座コースでNo.1かもしれません。
大天荘からヒュッテ西岳(3時間20分)(逆走:3時間10分)
大天荘から大天井ヒュッテまでは30分程度の急な下りです。
大天井ヒュッテは小ぶりでテント場もありませんが、アットホームないい小屋です(外部リンク:大天井ヒュッテ)
大天井ヒュッテから西岳へと続く喜作新道ははじめこそ樹林帯の退屈な道ですが、途中のビックリ平で展望が開け、その後は多少木が茂るところもありますが、おおむね見晴らしの良い道が赤岩岳(標高2769 m)まで続きます。
赤岩岳山頂付近は槍ヶ岳の絶好のビュースポット。
早朝(というか夜のうち)に大天荘を出て頑張って歩けばこのあたりで朝日に染まる槍ヶ岳を眺められます。
赤岩岳から細い岩尾根を渡ると登山道は西岳の東面を巻くようになります。
一時、槍ヶ岳は見えなくなりますが、左手に目を向けると常念岳がきれいです。
西岳山頂への分岐を過ぎるとヒュッテ西岳は目の前です。
日程に余裕があれば、燕山荘で一泊、ヒュッテ西岳を二泊目とすると、翌朝万全の状態で東鎌尾根に望めます。
(外部リンク:ヒュッテ西岳)テント場もあります
ヒュッテ西岳から槍ヶ岳山荘(4時間)(逆走:3時間40分)
ヒュッテ西岳を越えるといよいよ表銀座コースも大詰め、ここから水俣乗越までの下りが最も事故の可能性が高いエリアです。
全体的に道が急なうえ、ザレザレの滑りやすい登山道なので、滑落はもちろん落石等にも注意が必要です。
可能な限りヘルメットの着用をお勧めします。
1時間ほど下って槍沢への下降路との分岐でもある水俣乗り越しに着くと、いよいよ東鎌尾根の登りに入ります。
東鎌尾根は大部分が階段やはしごなどで歩きやすく整備されているため、油断せずに三点支持を守って通過すればそれほど怖い場所は多くありません。
どちらかというと長い登りが続くので体力的につらい印象です。
水俣乗越から2時間少々頑張って登り続けると傾斜が弱まりヒュッテ大槍に到着。
その名の通りヒュッテ大槍からは槍の穂先が間近に眺められます。
ここでゆっくると休憩して最後の岩場に備えましょう。
ヒュッテ大槍から先の東鎌尾根上部は傾斜はさほどでもないものの痩せた岩尾根の上を進む気の抜けない道です。
ここまでの道で岩場の通過に不安を覚えた場合は殺生ヒュッテ経由で槍の肩に登ることもできます。
どちらのルートでもおよそ一時間で槍の肩に立つ槍ヶ岳山荘に到着です。
槍ヶ岳山頂往復(空いていれば1時間)
槍ヶ岳の肩に建つ槍ヶ岳山荘から槍の穂先までは混んでなければ往復で1時間かかりません。
山頂からはここまで歩いてきた表銀座コースはもちろん、隣の穂高岳や、笠ヶ岳、常念岳、黒部源流域の山々や遠く後立山連峰まで北アルプスの主だった山すべてを見渡すことができます。
途中はしごや金属の杭に頼りながらよじ登る箇所もありますが、よく整備されていて全身を使って楽しく登れるアスレチックのようなコースです。もちろん高所恐怖症の方は行かない方がいいですが。
ただ、シーズン中の槍の穂先は非常に混雑し、場合によっては行って戻るのに3時間近くかかることもあります。
焦って行動すると危険な岩場なので、渋滞することもあらかじめ計算に入れて余裕を持った計画で登って下さい。
槍ヶ岳山荘に宿泊すると空いている時間を見計らって登れて便利です。
(外部リンク:槍ヶ岳山荘)
槍の穂先の注意点についてはコチラの記事で解説してます。(【天を衝く】登山者憧れの槍ヶ岳 定番&最短コース)
まとめ
今回は北アルプスを代表する縦走コース表銀座コースを紹介しました。
燕岳の奇岩やコマクサ、気持ちの良い縦走路、大天井岳からの大展望や、全身を使って登降する東鎌尾根のスリリングな岩場など北アルプスの魅力を凝縮した素晴らしいルートです。
ぜひ時間に余裕を持った計画で挑戦してみて下さい。
槍ヶ岳からの帰路についてはコチラの記事で紹介している槍沢コースか飛騨沢コースがおススメです。
(【天を衝く】登山者憧れの槍ヶ岳 定番&最短コース)
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