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【断崖に刻む道】大杉谷を辿る

こんにちは山絵いっとくです。

今回紹介するのは大台ケ原の中腹にある大杉谷、近畿で秘境といえば真っ先に名前が挙がる山オタ垂涎の渓谷です。

目次

大杉谷とは

大杉谷は三重県多気郡大台町の宮川上流にある渓谷です。

大台ケ原の豊富な雨水に削られた深い谷にエメラルドグリーンの水を湛え、多くの名瀑を擁する、秘境中の秘境です。

本来、人が歩くには厳しすぎる地形ですが、公益社団法人大杉谷登山センターの方々の並々ならぬ努力により、断崖に開かれた登山道が維持されています。

そのおかげで、ある程度経験を積んだ登山者ならば比較的安全に日本屈指の渓谷美を堪能することができます。

大杉谷登山道
こんな感じで崖を巻く道が続きます

大杉谷 登ってみると

さっそく大杉谷の見どころを最下流の大杉谷登山口から、ゴールでもある日本百名山の一座、大台ケ原まで一気に見ていきましょう。

宮川第三発電所

バスで入れる大杉谷登山口から15分ほど宮川沿いに歩くと宮川第三発電所があります。

発電所脇を取りぬけると本格的な登山道になりますが、初っ端から黒部渓谷の水平歩道を彷彿とさせる崖をくりぬいた道が現れます。

これから待ち受ける試練絶景への期待に息が荒くなり胸が高鳴ります。

大杉谷
登山開始直後ですでにこの秘境感

千尋滝

宮川第三発電所から2時間半ほど歩くと千尋滝に着きます。

落差135mの巨瀑で上部は対岸の登山道からでも一望できる断崖絶壁を流れ落ちています。

この付近は大杉谷の中でも特に美しいエリアの一つで、谷に差し込む陽光で水がエメラルドグリーンに輝きます。

大杉谷
千尋滝直下の渓流、冗談みたな水の色
落差135mの千尋滝、上部はむき出しの岸壁を流れる

シシ渕

フォトジェニックな景観の宝庫である大杉谷にあって、その中でも随一のフォトスポットがシシ渕です。

流水によって大きく削られた、ゴルジュと呼ばれる断崖地形を河原まで下りて堪能できます。

ゴルジュの先にはこれから向かうニコニコ滝も見え、もうホントに、狙って作ったゲームの一部としか思えないような絶景が拝めます。

シシ渕
シシ渕、某 最終幻想物語の新作に出てきそうなレベルの景色

シシ渕からは崖を高巻くように登るのですが、その途中にも名前もついていない、それでも十二分に美しい滝がかかっています。

シシ渕上部
シシ渕上部の滝 こんな感じの滝が無数にかかる大杉谷 大好きです
こちらはシシ渕の奥に見えたニコニコ滝

大杉谷のセーブポイント 桃の木山の家

登山口から約5時間、ゴールである大台ケ原との中間地点にある山小屋が桃ノ木山の家です。

収容人数250名を誇る関西有数の山小屋で、登山者にとってはおいしい食事で体力を回復し、
十分な睡眠をとって明日の急登に備えることができる大変ありがたい山小屋です。

SF時代のドラクエでワールドマップ上でMP切れた頃に唐突に現れる宿屋(神父付)ぐらいありがたい存在です。

また、大杉谷の険しい断崖に張り付くように立つ姿はそれ自体が魅力的な被写体でもあります。

宿泊の際には食事の有無も含め、事前に予約しましょう。

(外部リンク:桃ノ木山の家

桃ノ木山の家
険しい谷の途中に突如現れるセーブポイント

七ツ釜滝

桃ノ木山の家で十分に体力を回復し翌朝さらに宮川をさかのぼると、
30分ほどで大杉谷を代表する名瀑「七ツ釜滝」に到着します。

名前の通り七段の滝と滝つぼが連なる迫力満点かつ優美な滝です。

七ツ釜滝 大杉谷
夜明け直前の七ツ釜滝 手前の白い花はアオダモ?の花

七ツ釜滝の周辺は大杉谷でも最も切り立った崖を進むエリアです。
写真撮影に夢中になって墜落(滑落ではない)しないよう十分に気を引き締めて進みましょう。

大杉谷 崖の道
わかりにくいかもしれないが、右側は切り立った崖、落ちたら怪我では済まない(つまりタヒ)
七ツ釜滝を高巻いた先の七ツ釜滝上吊橋付近では河原に降りて休憩できる

光滝周辺

七ツ釜滝を超えると大杉谷もいよいよ後半、谷はいよいよ険しくなり、人気もまばらな秘境の感が強くなってきます。

途中には光滝をはじめとするいくつもの滝や、2004年の台風21号による大規模な崩壊地などがあり、自然の美しさと怖さを堪能できます。

1段で落差40m 迫力満点の光滝
こちらは優美な白線を引く与八郎滝
急流のすぐ脇を区割りにつかまりながら進む
台風で崩れた崩壊地 ルート工作が施され、見た目ほど歩きにくくない ありがとうございます

堂倉滝

大杉谷の最後に登城するのが堂倉滝立派な滝壺まで下りて、ほってった体を休めることができます。

この堂倉滝で大杉谷とは別れを告げ、この先はゴールの大台ケ原までひたすら急登です。
ここで十分に体力を回復しておきましょう。

堂倉滝までは、七ツ釜滝から約1時間半、桃ノ木山の家からは約2時間の道のりです。

堂倉滝
見た目も涼しい堂倉滝
大杉谷
堂倉滝直前 The 渓谷美

そして大台ケ原へ

堂倉滝を出ると、その後は4時間弱の間ひたすら登りです。

5月には登山道脇にシャクナゲが咲き、花を愛でるという口実で休憩しながら楽しく登ることができます。

それ以外の時期は、ここまでの楽しかった大杉谷の景色を心の中で反芻しながら、無心で登り切りましょう。

シャクナゲ 大台ケ原
大台ヶ原への上り坂はシャクナゲの森 「疲れて立ち止まってるんじゃないんだからね」

長い登りを歩き切ると周辺の木々に立ち枯れが目立ち始め、日本百名山の一座 大台ケ原の最高峰である日出ヶ岳に出ます。

大台ケ原は、

昭和34年の伊勢湾台風による倒木→人による倒木材の搬出→乾燥による笹の繁茂→笹を好む鹿の増殖→シカによる食害

という人災がらみのコンボで山頂部の森林がほぼ壊滅してしまっています。

しかし、その立ち枯れた木々が立ち並ぶ奇観が観光資源として人を呼び込んでいるという、いろいろと考えさせられるお山です。

山頂まで車道が通っていることもあり、家族ずれや観光客などが多く、秘境感全開の大杉谷とは隔世の感があります。

立ち枯れた白骨林が立ち並ぶ大台ケ原 確かにきれいな景色ではあるのだけど・・・・・
大杉谷の名所大蛇嵓 ここから見える山々は緑豊かで一安心

大杉谷へのアクセス

大杉谷を秘境たらしめている要素の一つがアクセスの悪さ。

大杉谷を大台ケ原とセットで楽しむならば、

車で大杉谷登山口に行って大台ケ原まで往復する(20時間程度・・・・)
バスで大杉谷登山口へ行って大台ケ原まで登り大台ケ原からバスで帰る。

の2通りの方法があります。

車でのアクセスは時間の自由は聞きますが、とんでもなくシンドイ上、崖の多い大杉谷を下るのは登る以上に神経をすり減らします。

バスを利用した方法は大台ケ原への片道移動で済む分体力的に楽で、危険個所も登りで通過するだけなので比較的安全に歩けます。

しかしバスの便が少ない上、完全予約制のツアー、しかも最低実催行人数(10名)を満たさないと走ってくれないという、なかなか難易度高めなアクセスになります。
(外部リンク エス・パール交通株式会社

また大台ケ原から帰りのバスも16:00発の一便しかないため
歩くのが早い人だと大台ケ原で4時間以上待つなんてこともあります。

登山者が多いと15:30頃から臨時便を出してくれることもあります。

逆に途中でバテてしまうと帰りのバスに乗れず、次の日の夕方まで帰れなくなることも・・・・。

なんにしても大杉谷を歩く際は事前によく下調べして、交通手段や宿泊を手配した上で、余裕を持って臨みましょう。

大杉谷 まとめ

今回は関西の秘境 大杉谷を紹介しました。

アクセスにやや難があるものの、日本屈指といってよい渓谷美を楽しめ、日本百名山の一座も登れる、魅力満点のルートです。

岩場が多いので初心者単独での入渓はお勧めできませんが、ガイドツアーもあるので気になる方はチェックしてみて下さい。

きっと一生忘れられに経験になりますよ。

冒頭でも紹介した通り大杉谷は本来人が立ち入れないような切り立った岸壁に崖を削って登山道が設置されています。
危険個所には鎖が設定されていて、谷を渡るためいくつも立派な吊り橋が整備されています。
この素晴らしい登山道を整備して下さっている公益社団法人大杉谷登山センターでは環境整備のための協力金を募っています。
登山口までのバスがトイレ休憩で依る登山センターや大台ケ原のビジターセンターなどで一人1000円で受け付けてもらえます。
任意ではありますが、山好きとしてはぜひ協力たいところです。

大杉谷の木材を使った根付など素朴でおしゃれな登山記念品がもらえますよ。
管理人もお守り代わりにザックにつけて多くの山にお供してもらってます。

外部リンク:大杉谷登山センター

大杉谷の吊り橋
山奥に似つかわしくないほど安心感のある吊り橋 管理して下さっている方々に感謝
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