こんにちは山絵いっとくです。
今回紹介するのは東アルプスとも呼ばれる奥秩父です。
前回の記事【東京の秘境】雲取山の魅力を感じる おすすめコースで紹介した雲取山から、さらに山梨県側に進んだ山域になります。
奥秩父には北アルプスのような華やかさや南アルプスのような圧倒的なデカさはないものの、
噛めば噛むほど味が出るスルメのような山がそろっています。
奥秩父とは
奥秩父とは東は東京都と山梨、埼玉の県境である雲取山から、西は長野県の野辺山高原にある飯盛山まで広がる広大な山域です。
秩父といえば埼玉県にある地名ですが、奥秩父山塊の主要部は山梨県にあります。
これは、明治~昭和初期の日本登山のパイオニアである小暮理太郎氏が、在所である大宮から見て秩父山塊の奥にある山々を「秩父の奥山」と呼んだためです。
奥秩父は標高2000 mを超す高峰と水量豊富な沢を多数擁し、現地の山小屋関係者を中心に東アルプスとも呼ばれています。
森林限界を超えた好展望の明るい稜線歩きが魅力の北アルプスに対し、奥秩父の山々は山頂付近まで深くて濃い森に覆われており、展望はききません。
しかしその分、岩場の山頂や山腹の崩壊地、展望台のように点在する巨岩の上など不意に現れる大展望に深く感動することになります。
メリハリが効いているんですよね。
北アルプスはもちろん素晴らしいですが、
稜線上はずっと好展望なので、疲れてくると。
「見てみて、景色めっちゃきれいだよ。」
「うん、知ってる。」
となり、テンションが上がりにくくなるんです。管理人の頭の中で交わされている会話です。
奥秩父には金峰山、瑞牆山、甲武信ケ岳、雲取山、両神山と深田久弥先生が選んだ日本百名山が5座もあります。
今回はその中でも奥秩父の中心部を形成する奥秩父主稜の3座を紹介します。
金峰山
金峰山は奥秩父主脈のほぼ中央に位置する標高2595 mの山。
標高こそ南東に位置する北奥千丈岳(2601 m)にわずかに及びませんが、小暮理太郎氏が「百貫の貫禄を具へた山」と絶賛した、見て良し、登って良しの奥秩父の盟主です。
山頂一帯は奥秩父では珍しいハイマツ帯で、東アルプスの名にふさわしい開放感のある明るい稜線歩きを楽しめます。
また、山頂に鎮座する高さ約15 mの五丈石も、金峰山を一帯のランドマークとするのに一役買ってます。
さらに金峰山の西側の尾根は千代ノ吹上と呼ばれる非対称山稜で、南側がスパッと切れ落ちた崖沿いを歩くスリリングな登山を楽しめます。
金峰山へのアクセス
金峰山に登るには瑞垣山荘から千代ノ吹上を経由するルートがオススメ。
千代ノ吹上はルートがしっかり整備されていて見た目ほどには怖くないですが、
特に強風時は南側への滑落に十分注意しましょう。
山頂までは登りで片道4時間程かかるので、山頂の北側にある金峰小屋で一泊しましょう。
(外部リンク:金峰小屋)テント場はありません。
テント泊をする場合は瑞垣山荘から約1時間の富士見平小屋にテントを張って次の日早朝から金峰山をピストンするのがおすすめです。
(外部リンク:富士見平小屋)
富士見平小屋からは次に紹介する瑞垣山へも登れるので、初日にテントを張りっぱなしにして、瑞牆山へ往復。
二日目、金峰山へ往復してからテントを回収。
といった計画にすると、軽い荷物で百名山2座を制覇できます。
テント泊デビューにもオススメですヨ。
瑞垣山荘までは夏山シーズン中はJR韮崎駅からバスが出ています。
(外部リンク:山梨峡北バス株式会社)
瑞垣山荘から2時間程度登った位置にも大日小屋という避難小屋がありますが、
老朽化が著しいので緊急時以外の利用はあまり考えられないと思います。
瑞牆山
瑞牆山は金峰山の北西に位置する標高2230 mの山です。
山全体が花崗岩の塊という珍しい山で、風化され残った花崗岩の柱が立ち並ぶ姿はどこか日本離れしています。
裾野にはカラマツの美林が広がっていて白い山肌とのコントラストがとても映えます。
実際に目の前にするとビビってしまいそうな厳つい岩山ですが、登山道は上手く岩の間を縫ってつけられているので、山頂に立つだけならば特別な技術はいりません。
なんとなくSF時代の最終幻想物語の山系ダンジョンを思い起こさせるステキな山です。飛竜の谷とかコルツ山とか
瑞牆山へのアクセス
瑞牆山へのアクセスは金峰山同様、JR韮山駅から瑞垣山荘へのバスを利用します。
詳しくは金峰山へのアクセスを参照してください。
甲武信ケ岳
甲武信ケ岳は奥秩父主稜の西側に位置する標高2475 mの山。
両隣にある大きな木賊山(2469 m)と三宝山(2483 m)に挟まれて
ちょこんと立ってる感じはとてもカワイイ。
名前の通り甲州(山梨)、武州(埼玉)、信州(長野)を分ける山です。
この山に降り注いだ雨は、山梨側に落ちると笛吹川から富士川となり太平洋へ注ぎ、長野側に落ちると千曲川・信濃川となって日本海に至ります。
埼玉側に落ちた場合は東京湾へ注ぐ荒川に入ります。
甲武信ケ岳で雨にあったら、不運を嘆くのではなく、ほんの数メートルの差がもたらす雨滴の運命の違いに思いをはせると、悲しい現実から目をそらせる心楽しい気分になれるデショウ?。
山頂付近はシラビソとカラマツが生えた眺めの良い露岩帯で、
風下側にだけ伸びた枝が環境の過酷さを訴えてます。
中腹はカラマツとカエデなどの広葉樹が混じる明るい森で、
特に紅葉の時期は格別です。
甲武信ケ岳へのアクセス
甲武信ケ岳の玄関口である西沢渓谷には
JR中央線の塩山駅と山梨市駅からバスが出ています。
(外部リンク:山梨交通)
(外部リンク:山梨市民バス PDFが開きます)
*2023年の情報です
西沢渓谷からはヌク沢を遡り尾根にとりつく近丸新道か
尾根筋を登り続ける徳ちゃん新道を進みます。
どちらのルートでも約2時間半登った標高1870 m付近で合流します。
雨天時は沢が増水するので徳ちゃん新道を使いましょう。
合流地点から甲武信ケ岳の南隣の木賊山まではさらに約2時間半の登りです。
途中の崩壊地では展望が開け、西沢渓谷や富士山がきれいに見えます。
木賊山を越えるとやっと甲武信ケ岳が見えます。
ここまでくれば甲武信ケ岳登山のオアシス、甲武信小屋までは約30分、崩壊地の下りです。
甲武信ケ岳を眺めつつ足元に注意して下りましょう。
甲武信小屋に荷物を置き甲武信ケ岳山頂までは片道20分ほどです。
西沢渓谷から甲武信ケ岳山頂までは登り片道5時間半、往復すると8~9時間かかってしまうので、無理せず甲武信小屋で一泊がオススメです。
(外部リンク:甲武信小屋)
まとめ
今回は東アルプスこと奥秩父主稜にある3座の百名山を紹介しました。
北アルプスほど華やかな縦走路はありませんが、それぞれにとても個性的な山で、
登ると好きになること間違いなしです!!(特にかわいい甲武信ヶ岳)
関東在住であれば南北アルプスに比べるとアクセスしやすい立地なので、
新緑や紅葉の時期を狙ってぜひトライしてみて下さい。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 標高2057 mの大菩薩嶺は山梨県北杜市と北都留郡丹波山村にまたがる山で、以前紹介した雲取山の南西、奥秩父主稜の南東にあたります。(内部リンク:【東京の秘境】雲取山のススメ、【東アルプス】奥秩父の百名山3座) […]